1.犬のフィラリア症
犬フィラリアの子虫(大きさ数百ミクロン)を持った蚊に刺されることによって感染します。犬の体内で成長し、心臓の中で、白いそうめんのような成虫になります。長さは30センチくらい。多い場合は100匹以上寄生している事もあります。
犬フィラリアは、心臓だけでなく、肺・肝臓・腎臓など全身の臓器に影響を与え、 犬の命を奪う恐ろしい寄生虫です。
< 症状 >
ある日、血を吐いて、1日で亡くなる甚急性型、
チョコレート色の尿が出て、1〜2週間で亡くなる急性型、
大量の腹水・激しい咳・貧血等で、じわじわ衰弱して亡くなる慢性型、があります。
< 治療法 >
心臓または大血管から成虫を摘出する手術。(麻酔リスクが高い)
成虫に対する薬物療法。(犬にも猛毒で、危険性が高い)
対症療法。(症状を抑えるのみ)
これらを組み合わせて治療しますが、一度悪くなった心臓は回復しません。
< 予防 >
月に一度、予防薬を飲ませる方法が広く普及しています。
安全性が高く、予防効果は100%です。
蚊に刺されて1か月後に飲んで効く薬なので、蚊の発生1か月後から、蚊の季節が
終わって1か月後まで飲む事になります。
(例えば、4月〜10月に蚊がいたら、5月〜11月まで予防する事になります。)
血液内にフィラリアの子虫がいると、ショックを起こす可能性があるので、事前に
必ず血液検査をしてから、処方しています。
5月ごろ、ワンちゃんと一緒に御来院ください。子犬の場合は、離乳していれば予防できます。
その他、滴下剤・注射薬もありますが、確実性・価格・副作用の点で、やや問題が
あり、現在当院では殆ど使用していません。
2.猫のウイルス性鼻気管炎
これは猫の重要な伝染病の一つです。
< 原因 >
猫ヘルペスウイルス1(直径140ナノミクロン)。
病猫の鼻水やよだれに接触したり、飛沫を浴びる事で感染します。
< 症状 >
くしゃみ、鼻水、眼ヤニ、発熱が特徴で、重症になると副鼻腔炎や肺炎になり、死亡率は約25%と言われています。出産時に感染すると、子猫は酷い角膜炎・結膜炎をおこし失明する事もあります。
また、治った後も潜伏感染になりやすく、何らかのストレスで再発する事があります。
< 治療法 >
インターフェロンの注射・点眼、抗生物質の注射・投薬、栄養剤の注射等で、治療します。
< 予防 >
混合ワクチン接種が有効です。体力が落ちている時には、ワクチンを接種していても、まれに発症する事がありますが、ごく軽い症状で済みます。
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